2025年9月30日㈫夜10時から放送のNHKドラマ10「シバのおきて~われら犬バカ編集部~」
柴犬専門雑誌の編集部のお話。
原作者は「犬部!」が映画化された片野ゆかさん。脚本は「おっさんずラブ」の徳尾浩司さん。出演者には大東駿介、飯豊まりえ、片桐はいりやこがけん、勝村政信、松坂慶子他が顔を揃えます。
犬好き、柴犬好きにはたいへん楽しみなドラマだと心待ちにしている声もたくさん投稿されています。
しかし、反対にSNSでは不安の声も・・・・
なぜ、不安になるのか? そのような不安になるドラマなのか? 原作はどういう内容なのか? を今回お伝えいたします。ドラマを楽しみにしている方や、楽しく見たい方はどうぞ最後までご覧ください。
柴犬ドラマ|NHK 9月放送に不安の声
SNSでは不安の声も・・・。
「ドラマの影響で飼い始める人が一杯出てくる」
「ドラマを見て安易に飼う人が増えませんように」
「かわいいだけで飼わないで」
こういった不安の声が上がるのには「シベリアン・ハスキーの悲劇」を思い出すからでしょう。
漫画「動物のお医者さん」のヒットによりシベリアンハスキーに人気が急上昇。飼育の難しさを理解しないまま飼い始めた人が多く、結果的に「飼育放棄」や保健所への収容が増えたという何とも心が痛い社会現象がありました。
そして、この現象はペットを安易に飼うことの危険性や,犬種ごとの特性を理解することの重要性を社会に問いかける出来事となったのです。
ですので、今回の柴犬ドラマはそういったことが「再び同じことが起きてしまうのではないか」という、柴犬を愛する人たちの心配や不安が増しているのです。
実際に私も柴犬を飼っており、とても気持ちは分かります。
その不安の声の中には「クセツヨ犬種」として注意喚起をしているものも。
SNSでは、かわいらしい動画や写真が投稿されますが、実は柴犬はかなり「クセ」の強い犬種で「飼育放棄も多い犬種」だということです。

実は、首輪のない柴犬がひとりで歩く姿を何度か見たことが泣。
そして、個体ごとの性格は様々。それに「散歩は必須」。雨でも雪でも暑い夏の日でも、散歩は欠かせないですし、トイレも家の中ですることはありません。



台風の大雨の中、トイレ散歩に行くことも
さらに驚かれることは「毛の抜けかた」。
一年中抜けているんじゃないかというくらい毛は抜けます。だから、朝起きれば犬の毛を掃除することから始まるのです。



一日に何回掃除機かけるか
わかんない
柴犬を愛する人達にとっては、安易に飼うようなことに対して心配が募り不安になる。だからSNSで注意喚起として発信しているのです。
ですが、このドラマはそういった「柴犬のかわいいだけの」ドラマなのかと疑問を抱いたので、調査をしてみました。
柴犬ドラマ|原作は「平成犬バカ編集部」
ドラマの原作となるのは2018年発売の「平成犬バカ編集部」。
2001年創刊の日本犬専門誌「Shi-Ba」 編集部を舞台に、編集長・井上祐彦さんとその仲間たちがどれほどの”犬バカ”かを描くノンフィクション作品。
平成という時代に生まれた犬と人間の関係性の変化を「犬現代史」として追い、雑誌製作の裏側や社会の移り変わりを豊かに書き出しています。
柴犬ドラマ|原作「平成犬バカ編集部」どんな内容?
ただの犬好きの話ではない!? 本格的ノンフィクションによる社会分析
この原作の中では、単なる編集部内の奮闘記や犬好きの話にとどまらず、平成という時代における犬と人間との関係性の変化をとらえた、非常に深いノンフィクションの作品です。
特に「室内飼育の普及」「日本犬&洋犬ブーム」「しつけ文化」「動物愛護法改正」「ペットビジネスの闇」に着目。平成期の犬を巡る社会的背景を編集部のエピソードと共に読み解くものになっています。
室内飼育の普及と「家族化」
かつて犬は「外で飼うもの」でしたが、平成の中盤以降、都市部を中心に「室内飼育」が主流に。これは単なる住環境の変化ではなく、犬が「番犬」から「家族の一員」となった転換期でした。



30年前の実家の柴犬は外飼いだったな
これらの背景には、住環境の都市化や、マンションの増加、それに伴う、しつけやマナー、ファッション、医療への充実が急増したこともあるようです。



温暖化がすすみ、犬も外で猛暑を過ごすことが
難しくなってきたこともあるかな
編集部では、犬の気持ちや性格を特集に取り上げることで、読者と犬との距離感の変化に答え、犬が「物」から「人格を持つ存在」として認識されはじめた時代的な背景をリアルに描いています。
ペットビジネスの急拡大と倫理的問題
平成期はペット市場が急成長。
一方で悪質ブリーダーやペットショップが過剰に増え、その問題が社会に公表され大きな問題として取り上げられました。
雑誌「Shi-Ba」では、見た目のかわいらしさや珍しい犬種が重視される風潮に疑問を投げかけ、ペットの「消費化物」への懸念と、メディアの立ち位置を自答する編集部の姿勢も描かれています。
動物愛護法の改正
平成初期には曖昧だった「ペットの法律的な位置付け」も、法改正によって明確化。
2000年代に入り、動物愛護法の改正により「飼育環境の改善」「殺処分数の削減努力」「マイクロチップ制度」などの導入が進みました。
「Shi-Ba」編集部では、特集記事や啓発コンテンツを通じて「犬にとって幸せな暮らしとは何か?」「犬と人間がどう共存すべきか」を問いに向き合っています。
犬メディアの役割と”発信の責任”
出版不況の中でニッチ誌「Shi-Ba」が成功した背景には「犬を売る」情報ではなく、「犬と暮らす意味を伝える」という編集方針がありました。
取材や特集の中で常に
・流行りに乗らない
・過剰に煽らない
・本質を突くというポリシーがあった
そのことが信頼を得られると同時にマスから、パーソナルへとシフトするメディアの動きとしても捉えられます。
犬を通じた日本社会の変化
・少子高齢化の進行に伴い、犬を飼う事で話し相手、ふれあいの相手となること
・単身世帯の増加に伴い、犬との深い絆、安心や癒しの形成
・SNSの普及により、犬を見せる、共感される存在に
こういった人間社会の変化を、平成犬バカ編集部は犬というフィルターを通して、平成の日本人の孤独や希望を描き出した社会記録でもあるのです。
総じてこの「平成犬バカ編集部」は、犬好きにはたまらないエピソードが満載でありながら、動物との向き合い方を文化、社会的文脈から掘り下げた貴重な記録でもあります。昨今、犬がただのペットではなく「家族」と呼ばれるようになった平成の歩みを、編集者たちが”犬バカ”魂とともに味わえる一冊になっています。
柴犬ドラマ|まとめ
愛犬家で「犬と暮らすには?」を深く掘りたい人、ペット文化がどう変わったかに興味がある人、その他、編集ストーリーや出版裏話が好きな人にはもってこいのドラマのようです。
犬好きの皆さん「犬あるある」を楽しみながら見てみましょう!
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